【BLEACH】斬月の正体と作中での伏線をまとめてみた

アニメ

 

ブリーチの最終章、千年血戦編のアニメが始まるという事で改めて主人公黒崎イチゴの斬魄刀である、斬月の正体と作中での伏線についてまとめていきたいと思います。

 

斬月の正体

 

まず結論からですが、千年血戦篇で明かされた斬月の正体は「千年前のユーハバッハの魂の欠片と一護の死神の力+内なる虚」というものです。

 

これまで作中では一護の中にいる力の実体化は斬月のおっさんと内なる虚の2人だったわけですが、実はどちらも『斬月』の片割れだったというわけですね。週刊でパラパラ読んでいるだけでまたオサレ師匠のライブ感の後付けかよ…と思う人も多いと思いますが、実はこれに関しては尸魂界編からちゃんと設定が練られていた節があります。

 

 

f:id:hoasissimo:20150112232513j:plain

久保帯人BLEACH』60巻187頁)

f:id:hoasissimo:20150113190636j:plain

f:id:hoasissimo:20150114001139j:plain

久保帯人BLEACH』61巻13~14頁)

 

 

斬月のおっさんの正体

 

まず「斬月のおっさん」の正体は、一護の「死神の力」ではなく、「滅却師の力」の根源です。これは「斬月のおっさん」のおっさんの容姿が滅却師の祖であるユーハバッハ(千年前の姿)と酷似しています。

 

一護の中の「千年前のユーハバッハ」は、一護を戦いから遠ざけその身を護るために、一護が本来持っている霊的な力を抑え込んでいました。自分こそが斬魄刀『斬月』であると嘘をつき(少なくとも『斬月』の片割れではあるわけですから全くの嘘とも言えませんが)、『斬月』のもう一人の片割れである一護の内なる虚を「斬魄刀とは無関係なただの虚」であるかのように誤認させていたのです。

 

f:id:hoasissimo:20150112220807j:plain

f:id:hoasissimo:20150112233131j:plain

久保帯人BLEACH』61巻16~17頁)

 

 

内なる虚の正体

 

内なる虚は尸魂界編で更木剣八との戦闘の際に現れました。その正体はホワイトという改造虚+一護の死神の力です。

 

ますホワイトは元々は藍染が作ったワンダーワイスのような改造虚です。(これが藍染が破面編を通して一護に対して興味を抱いていたことの理由です。)

 

ホワイトは一護の両親である志波一心と黒崎真咲によって倒されましたが、その際に真咲の体内に侵入し彼女の身体を乗っ取ろうとしていました。(ホワイトの能力は不明ですが、恐らくは相手の体内に侵入し支配するといった類の能力であったのではないかと推察されます)

 

それを一心が専用の義骸に入ることで押さえられ、その後2人の息子である一護にホワイト+一心の死神の力が合わさったものが内なる虚として宿ります。

 

これは仮面の軍勢が死神+虚の力を持っているのと理屈と同じだと推察され、平子が一護を同類と呼んでいたのは間違いではないでしょう。ただ一護が仮面の軍勢よりも特別なのは、一護の中にいる虚(ホワイト)が110年前の平子達での虚化の実験を重ねてさらに強化を重ね隊長格とまともにやりあえる強さ(=最上級大虚ヴァストローデ級であることと滅却師の力を有していた点にあると言えるでしょう。

 

確かに隊長クラスの死神+純血の滅却師+最上級大虚級の虚のハイブリットと言われると藍染が興味を持つのも納得できるかと思います。

 

一護は最終章で正体を知る前は「斬月のおっさん=自分の斬魄刀『斬月』の姿」「内なる虚=浦原の手による虚化で自分の中に生まれた虚(=斬魄刀そのものとは無関係)」という認識でいたのですが、それは「千年前のユーハバッハ」が『斬月』を名乗っていたことに起因する誤解だったわけです。

 

f:id:hoasissimo:20150112231401j:plain

久保帯人BLEACH』60巻183頁)

 

また他の死神たちの斬魄刀が擬人化した際の言動などをみると、内なる虚が死神の力(=斬魄刀の擬人化)という方が個人的にはしっくりくるかな思います

 

真の斬月

 

余談ですが、最終的に一護は斬月を王悦に刀を打ち直してもらうことで自身の2つの力の正体に気付き、2人で1つの真の斬月を手に入れます。(まあ結局折られましたが…)

 

f:id:hoasissimo:20150112225056j:plain

f:id:hoasissimo:20150112225108j:plain

f:id:hoasissimo:20150112225120j:plain

 

この二刀一対の斬魄刀こそが一護の斬魄刀「斬月」の真の姿だったわけですね。

 

 

『斬月』の正体にまつわる描写

 

「常に閉じた状態」

 

f:id:hoasissimo:20150112215232j:plain

f:id:hoasissimo:20150112215248j:plain

f:id:hoasissimo:20150112215259j:plain

f:id:hoasissimo:20150112215310j:plain

久保帯人BLEACH』6巻124~127頁)

 

現世で一護が大虚(メノスグランデ)と相対したときの雨竜のモノローグです。これは一護の持つ莫大な霊力の正体について雨竜が個人的に立てた推測ではあるのですが、どうやらそれほど的外れではないようです。

 

雨竜の見立て通り、なぜか「閉じて」いたらしい一護の霊力(雨竜の表現で言えば「水道の蛇口」)が、大虚との接触によって確かにこじ開けられ、その結果として大虚を一刀両断しています。この「常に閉じた状態」の原因は「一護の中の「千年前のユーハバッハ」が一護の力を抑え込んでいた」ことにあるのではないかと考えています。

 

一護の内なるユーハバッハは、一護を戦いから遠ざけるために、一護の霊力を抑え込んでいました。まさしく「閉じた状態」に留め置こうとしていたわけです。しかし、大虚との接触によって、一護の斬魄刀のもう一つの片割れである「内なる虚」が覚醒してしまった。この大虚撃退シーンはそのように解釈できます。

 

「斬月のおっさん」のセリフ

 

f:id:hoasissimo:20150113194133j:plain

久保帯人BLEACH』8巻38頁)

 

朽木白哉との交戦で死神の力を失った一護は、力を取り戻す修行の過程で「斬月のおっさん(=内なるユーハバッハ)」と対話します。その中で内なるユーハバッハは、「大気中に無数に飛び交うこの霊子さえも、足下に固めれば踏み台とすることができるのだ」と言っています。

 

しかしこの「周囲の霊子を集める」というセリフは、死神ではなく滅却師の戦い方に近く「死神の力を取り戻すためのヒント」としては明らかにおかしいです。

 

というのも死神は瞬歩や鬼道など自身の霊力を放出する戦い方が一般的で、霊子を集めるのは神聖滅矢や飛連脚に近い理屈です。この時点で「斬月のおっさん」の正体が滅却師の力であるということが、この時点ですでに示唆されていたわけです。

 

剣八戦でのサポート

 

斬月のおっさん=滅却師の力の伏線として最も分かりやすいのはこの場面でしょう。

 

f:id:hoasissimo:20150113203140j:plain

f:id:hoasissimo:20150113203156j:plain

久保帯人BLEACH』13巻60,120頁)

f:id:hoasissimo:20150113204656j:plain

久保帯人BLEACH』61巻25頁)

 

尸魂界篇で更木剣八に一度敗れた一護が、「斬月のおっさん」の助力を得るシーンです。何気なく描かれたものに見えますが、これらは死神としての能力ではなく『見えざる帝国』の滅却師が持つ「影」と「血」を操る能力によるものです。「斬月のおっさん」の正体がユーハバッハに由来する滅却師の力だったからこそできた芸当だったわけです。

 

また、「斬月のおっさん」と「内なる虚」が二人で一人の存在である、という描写もこのときすでに為されています。

 

f:id:hoasissimo:20150113204852j:plain

久保帯人BLEACH』13巻90頁)

 

一護の精神世界で戦い方を指南してやった「内なる虚」が姿を消すシーンです。「内なる虚」の体が溶けて、「斬月のおっさん」の右足になって吸収されていきます。彼らは二人で一つの体を共有している、二刀一対の斬魄刀なのだということがここで示唆されています。

 

『月牙天衝』の発動原理

 

f:id:hoasissimo:20150113211151j:plain

久保帯人BLEACH』19巻49頁)

 

尸魂界篇の朽木白哉との決戦で、『月牙天衝』の名前とその発動原理が明かされました。「斬撃の瞬間に『斬月』が一護の霊圧を喰らい、刃先から超高密度の霊圧を放出することで、斬撃そのものを巨大化して飛ばす」というものです。

 

一見するとどうということの無い能力に思えますが、 「他者の霊圧を喰らう」「超高密度の霊圧を放つ」というのは、どちらも「虚」と「滅却師」に共通する戦い方です。

 

つまり、一護の放つ超高密度の霊圧の斬撃『月牙天衝』とは、大虚が放つ『虚閃(セロ)』でもあり、同時に滅却師が放つ『神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)』でもあるのです。

 

一護の斬魄刀『斬月』の正体が「内なる虚」と「内なるユーハバッハ」の融合したものであるということを踏まえさえすれば、そのように考えることは何ら不自然ではありません。

 

そして、このことから推察するに『月牙天衝』は必殺技ではなく、通常技の可能性があります、現にウルキオラ戦で暴走(=内なる虚が主導権を握った)したときは、『月牙天衝』のような虚閃を乱発して牽制技のように使っています。

 

なので一護には『月牙天衝』はただの通常技であり他にも固有能力がある可能性があります。そういう意味では始解すらしていない状態で隊長だった剣八に並んで特記戦力に加えられたのも納得でしょう

 

「内なる虚」のセリフ

f:id:hoasissimo:20150113214717j:plain

f:id:hoasissimo:20150113214729j:plain

f:id:hoasissimo:20150113214740j:plain

(25巻77,86頁)

 

〈破面篇〉での虚化修行で、一護は自身の精神世界に没入します。そこにいるはずだった「斬月のおっさん」の姿は無く、「内なる虚」だけが一護と対峙します。「斬月のおっさん」の行方を問う一護に対して、「内なる虚」は「俺が”斬月”だ」と言います。

 

曰く、「内なる虚」と「斬月のおっさん」は元々一つであり、どちらも一護自身の力なのだそうです。「内なる虚」の力が増大したことで体の支配権が移行し、「内なる虚」の姿に変貌してしまったというのです。

 

この「俺が”斬月”だ」という主張は、最初に読んだ時こそ突飛に思うかもしれませんが、この「内なる虚」も『斬月』の一部であり、嘘をついてはいないわけですからここにも『斬月』の正体のヒントがあったのです。

 

少年の姿をした『天鎖斬月』

 

f:id:hoasissimo:20150113230151j:plain

f:id:hoasissimo:20150113230205j:plain

久保帯人BLEACH』47巻97,99頁)

 

〈破面篇〉の終盤、「最後の月牙天衝」を修得するために、一護は自身の精神世界に「卍解状態で」没入します。そこには少年の姿になった「斬月のおっさん」、もとい、『天鎖斬月』が待っていました。

 

みなさんも疑問に思ったはずです。なぜ「斬月のおっさん」が若返っているのか、と。その答えは、「斬月のおっさん」の正体はユーハバッハの力だからです。

 

というのもユーハバッハは、他者の魂や霊力を奪わなければ、やがては無力な赤ん坊にまで退行してしまう存在なのです。言い換えれば、「自らが保有する霊力を他者に分け与えることで、ユーハバッハは若返ることが出来る」ということです。

 

 

f:id:hoasissimo:20150113232527j:plain

久保帯人BLEACH』61巻22頁)

 

一護の内なるユーハバッハは、一護の斬魄刀の本来の力が発揮されないように抑え込んでいました。つまり、本来なら一護が自由に扱えるはずだった霊力を、ユーハバッハが奪い取って占有していたのです。しかし、「卍解」状態では「始解」状態よりも多くの霊力を一護に分け与えることになりますから、そのせいで一護の内なるユーハバッハは若返り、少年の姿になっているというわけです。

 

f:id:hoasissimo:20150113230742j:plain

久保帯人BLEACH』63巻84頁)

 

実際、〈千年血戦篇〉で描かれた幼い頃のユーハバッハの容貌は、『天鎖斬月』そのものです。

 

「俺達、一人だ」

 

f:id:hoasissimo:20150113232908j:plain

f:id:hoasissimo:20150113232935j:plain

久保帯人BLEACH』136,139頁)

 

同じく「最後の月牙天衝」の修行から。これまで繰り返し描かれてきたとおりの「私達は二人で一つである」「どちらも一護自身の力である」という旨を述べて融合し、「内なるユーハバッハ」と「内なる虚」両方の特徴を併せ持った姿になります。『斬月』という斬魄刀は彼ら二人の力を兼ね備えたものである、ということがここでもやはり見て取れます。

 

天鎖斬月の刀形と容姿の変化

 

こちらは憶測ベースですが、一護の卍解に関する話です。まず一護の卍解の天鎖斬月は刀の形が始解の斬月と比べると刀の形状が小さくなるだけで大きな変化はなく、しかも特殊能力も特にないという時点で少し特殊な卍解です

 

形状ですがこれは初披露した際に朽木白哉からそんな矮小な卍解はないと言われていましたが、似たような形状の卍解があります。それは山本元柳斎重國の卍解「残火の太刀」です。

 

 

 

 

ようはこれは斬魄刀のふりをしている斬月のおっさんが一護から卍解をくれと言われたものの斬月のおっさんは元々滅却師かつ斬月の半身なだけなので本来の形状が分からず、自分の本体が過去にみた残火の太刀の形状を真似てこれが卍解だと一護に渡したのだと推測されます。

 

また死神の卍解は基本的に刀の形が変化するだけで自身の容姿に特に変化は起きないにも関わらず一護は卍解すると死覇装が変わるのも独特です。

 

容姿が変わる強化というと滅却師の完聖体や破面の帰刃が該当し、天鎖斬月は卍解というよりはこれらに近いものだと考えられます。

 

最後の月牙天衝

 

崩玉と融合した藍染を倒した最後の月牙天衝、これも振り返ると一護の力が滅却師から由来している伏線でした。最後の月牙天衝は斬月と一護が一体化することで絶大な力を発揮しますが、その後霊力を失います。

 

 

 

これは作中で石田がマユリ戦で使った滅却師最終形態と設定が酷似していて容姿や技も近いものがあります。これも本編だと唐突な展開に思えましたが。一護の力が滅却師から由来しているとすればおかしい展開ではありません。

 

おわり

 

『斬月』の正体にまつわる描写の紹介は、以上です。

 

一護の中では内なる虚(死神の力)よりも斬月のおっさん(=滅却師の力)の方が主導権を握っている描写が多く、天鎖斬月の能力や最後の月牙天衝なども鑑みると、一護は死神というよりかは滅却師に近い存在なのかもしれません。見た目は死神なのですが力の使い方が全然死神のソレじゃないんですよね。

 

振り返ると基本的に一護の力のコントロールは斬月のおっさん(=滅却師の力)が管理していて、ウルキオラ戦や白哉戦など相手がどうあがいても勝てないレベルで本当にヤバいときはそれを緩めて内なる虚の力(=死神の力)を出している、そんな描写が多いです。

 

『斬月』の正体は千年血戦篇で突然明かされたかのように思われていましたが、実はそれを仄めかす描写や表現が、千年血戦篇よりもずっと前の時点から存在していました。

 

他にも小説版や公式ファンクラブでやちるの正体などの作中では明確に明らかにされなかった伏線が続々と明らかになっており、それらを含めて読むとブリーチはライブ感だけではない漫画だということがわかり、より作品への評価も上がると思います。では~

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました