【考察】サイコパス22話(最終回)での槙島聖護の「そうか・・・君は・・・」のセリフの意味

サイコパス22話(最終回)での槙島聖護のセリフ

こんにちは。最近dアニメでサイコパス一期を見直していたのですが、22話(最終回)での槙島聖護の「そうか・・・君は・・・」のセリフの真意ってなんだったんだろうなとふと考えてしまったので自分なりの考察を書きたいと思います。

というのもリアタイで見てた時はこのセリフの意味って続編とかで茜がシヴィラに対して何かアクションを起こしたりして回収されるのかな～と思って深く考えていなかったのですが、映画・2期・3期を見ても特に掘り下げられることとかもなかったので自分なりの解釈を締めようと思います。

重要なのは発言のタイミング

まずこの「そうか・・・君は・・・」という言葉の真意を考えるには槙島の発したタイミングがカギになると思います。というのも槙島はあのシーンで最初は常守のことを「いい加減…僕たちを侮辱するのはやめて欲しい」と彼にしては珍しく感情的にイラついているような感じで殺そうとしていて実際に躊躇なくリボルバーの引き金を引いています。

しかしリボルバーの中身は空で弾は発射されず、「そうか・・・君は・・・」という発言に繋がっています。

このことからあのリボルバーが一発限りで空であることが分かるまでは槙島に取って常森は狡噛との決闘を邪魔してくるシヴィラの犬に過ぎなかったわけです。それがリボルバーが空であったことが分かってから彼女に対する認識を改めたと考えられます。

なので、この「常森が持っていたリボルバーの中身が一発しか入っていなかった=槙島を殺す気がなかった」という事実が発言の真意に深く関わっていると推察できます。

まあこのシーン普通の考えると、茜が槙島が銃口を向けた際にリボルバーの中の銃弾は空であり、そこで常守には槙島を殺すつもりが無く逮捕するつもりであったことを悟ったことが大きいことはパッとわかると思います。

ですがこれだけだと槙島が茜を見逃した理由としてははっきりしません。まあこのシーンでは槙島は既に連戦&狡噛のナイフで出血していて拳銃でサクッと仕留めることができない以上、わざわざ首の骨を折ったりするほどの余力がなかったというのが彼女を殺さなかった理由の大きな要因ではあると思いますが、それも「そうか・・・君は・・・」というセリフの説明にはなっていないのです。

槙島の人間性

発言の真意を考えるにはまず槙島の行動心理を考えることが大事だと思います。槙島の目的は、「シビュラに頼ることなく、人が自分の意志で考えて行動する姿を観察すること」にあります。だからこそ自分がなく父親の劣化コピー模倣しかできなかった王陵璃華子に対して失望していたり、シヴィラの一員になり下がった藤間孝三郎を殺害しています。

つまり槙島はシヴィラによって覆い隠されている人間の本性を見たいわけで、その為には人々に先に答えを与えてしまうシビュラが邪魔であり、彼は変なマスクを作ったりしてシヴィラの正体を暴こうとしたり、穀物テロで社会不安を煽ってシヴィラシステムを民衆の手で排除させようと風潮を作るために暗躍していたと考えられます。

そして槙島にとってシヴィラ(ドミネーター)が管理する社会で不要である銃はシヴィラに依存せず自分を守る(=行動する)意志の象徴であると私は解釈しています。

そのため、17話の茜のようなシヴィラに依存し、法(ドミネーター)では自分を裁くことができない無力な人間を見下し、全てを捨てて本物の銃を持って挑んできた狡噛だけを認めていたのだと思います。

「そうか・・・君は・・・」の真意

これらを踏まえて再度あのシーンを考えると、まずあの場面で常森が空のリボルバーを持っていたということは、まずドミネーターを使っていない=シヴィラの意志に脳死で従っているわけでないことを意味していると考えられます。つまりあの空のリボルバーはシヴィラではなく茜自身の考えで槙島を殺さないという選択したという意志の表れだった捉えることができます。

そして、槙島は人間の本性(人が自分の意志で考えて行動する姿)がどんなものであるかに興味のある人間です。つまりこのシーンで茜は槙島に対して彼女がシヴィラの犬でありながらも、自分の意志で彼を殺さずに捕まえるという選択したということを彼に見せつけたともいえるわけです。

これは17話で槙島が彼女に対して選択を迫った際に、2連ショットガンを槙島からもらったにも関わらずドミネーターに頼りっぱなしで、結果何もできず親友を見殺しにした時の朱の姿勢とは明らかに変わって(成長して)います。これについては征陸や六合塚・狡噛などの執行官も農業プラントに立ち入った際にそれぞれのニュアンスで茜に対して指摘しています。(なお宜野座さん…)

そして槙島もリボルバーを打つ前は「いい加減…僕たちを侮辱するのはやめて欲しい」と茜が変わったことに気づいていませんでしたが、リボルバーが空だったことで「そうか・・・君は・・・(シヴィラの犬でありつつシヴィラの意志ではなく自分の意志で僕を殺さないという選択をしたのか)」ことに気が付いたのだと思います。

そしてここで槙島は自分や狡噛のようにシヴィラを全否定せず、かと言ってシヴィラに脳死に従うわけでもなく、シヴィラを肯定しつつも自分の意志で行動する彼女の姿を見て、彼は朱が自分や狡噛や一般大衆とも違う別の未来を見せてくれると感じたのではないでしょうか…？

だからあのシーンで槙島は彼女を認め、狡噛と地下で初めて会った時と同じように常森をあえて殺さないで生かしたのだと解釈しています。

終わり

長くなりましたが、サイコパスはスゴイ練られている作品なのでキャラの行動や発言の意図を考察できるのも攻殻SACのように楽しめるポイントだなと思っています。