仮面ライダーBLACK SUNを視聴したので感想とかを書こうと思います。
総評
結論から言うと、正直反応に困るというのが率直なところ。仮面ライダー見るつもりで映画館言ったら映像の世紀を見せられた感じでした。映像の世紀としてみれば良い点もあるし、仮面ライダーブラックとしてみれば悪い点もある、そういう意味でかなり賛否両論が沸き起こる作品だと思います。
個人的には今の日本社会と政治ネタをパロディにした作品として見るとかなり面白かったというのが率直なところですが、これが仮面ライダーブラックのリメイク作品で大人向けの仮面ライダーだと言われるとうーんなんかなぁといった感じです。ちなみに自分はブラックとクウガの中間世代ですが、これをクウガでやられたらキレてたと思います
面白かった点
面白かった点で真っ先に思い浮かぶのはルー大柴の怪演ですね。他にもキンコン今野や主役の2人といいこの作品は演技力が高い俳優が集まっていて演技は見どころがあったと思います。しいてるなら俊介の叫ぶ演技がちょっと・・・って感じでした
他にも政治ネタがかなり細かく散りばめられていて、左寄りな感じもしますが、基本全方位へメタファーがあったように思います。
- ゴルゴム党→自民党
- 五流護六→新左翼(内ゲバ・山岳ベース)
- 怪人→在日朝鮮人
- 創世王→天皇
- キンコメ今野→在特会
白石監督は反体制の匂いが少ししますが、テコンダー朴みたく政治に被れた連中を全員馬鹿にしてるってメッセージだとしたらちょっと面白いなぁと思いました。ブラックだけにブラックジョークみたいなw
ヒロインの葵も最初は「怪人差別はんたーい!人間と怪人は同じ!共存共栄できます!」って綺麗事を国連で演説していたのに改造手術で怪人になったら、人間じゃないと最初は拒否、力の使い方を覚えてからは結局子供を洗脳し少年兵に仕立てあげ爆弾を作らせ暴力で全てを解決するテロリストになるという元から怪人の俊介よりも殺しに対する適性もあって本当の怖いのは怪人と人間どっちなんだろうとなかなか皮肉が効いてる内容でした。
気になった点
エンタメとして面白くない
政治色が全開でエンタメとして面白くは感じませんでした。そういう意味(政治ネタしか見どころが無い)でも仮面テコンダー朴というのが自分の感想です。
南光太郎の人物像
敢えてそうしているのかもしれませんが主人公が何を考えているのかがイマイチ不明瞭でした。怪人のあり方については以下のような感じだと解釈していますが、信彦は女の色仕掛けでコロコロ意見変えるし、光太郎もゆかりとかいう重信房子似の赤軍サーの姫のことを引きづっているようにしか見えませんでした。
ダロム →こんなんでも生きてるだけマシが
光太郎→こんな生に価値はないからこの世代で終わらせる
信彦・葵→ ふざけんな全面戦争じゃ
原作オマージュが雑
あと原作要素が雑だった点も微妙でした。
一番はビルゲニアがごっつええ感じのコントみたいな容姿。役者さんも小太りですしなんか学芸会のコスプレみたいで最後の死ぬシーンもイマイチ感動しませんでした。白塗りとか隈取りとかすればいいと思うのですが事務所NGとかあったのかと勘ぐってしまうレベルのクオリティでなんかなあという感じ
あとわざとやっているのかもしれませんが、ブラックが一度死んでクジラ怪人が蘇生させるシーンは原作オマージュですが本作のクジラ怪人は一族とかいないせいで唐突にサザエ汁かけるシーンになってて変にオリジナルを意識したチープな演出が気になりました。
他にはゴルゴム怪人や3神官も全然強くなくてなんかガッカリしましたね。これも全部怪人=在日という前提みたいな政治ネタをベースにしてそこに原作のBLACKの設定をのっけただけだからこうなったんだと思います。
そうなるとゴルゴムやシャドームーンはネーミング無さすぎであり得ないだろって話になるわけですが、現実もマザームーンとかサタンとか言っているので、ある意味現実準拠になっているのが笑いどころですね(笑えない)
戦闘
戦闘シーンはまあまあありますが自分は微妙に感じました。というのも中身がクウガやアギトみたいな殺陣みたいな戦闘はなく、多人数VS多人数や不意打ちでダウン取って足で顔蹴りまくるヤンキー映画のチンピラの喧嘩みたいなシーンばかりでこれって仮面ライダーでやるものじゃないだろって感じでした。監督が孤狼の血の監督なのにこういうのが戦いってイメージなんでしょうね
あとこの監督の映画は孤狼の血しか見てないんですけど家の前にリンチした死体置いてノルマかなんかあるんですかね(笑)
あと描写も首切ったり内臓引きずりだしたり効果音が生々しくてグロイです。別の記事でも書いたことなんですが、なんで日本の特撮は大人向けとか言い出すとグロ描写増し増しになるんですかね・・・
関連記事:平成2期~令和の仮面ライダーが「つまらない」という老害の愚痴
怪人の死体も爆発しないで下半身とか首や腕が残っているのみると、ニチアサの身体を切られたり撃たれたら火花がでて、死んだら死体が爆発するシステムって表現としてよかったなあって再確認しました。個人的にそこはリアルにするんじゃなくて人間関係とかキャラをリアルにしてほしいなって感じです
アメコミのMCUは過剰なグロ描写とかはせずにCGのクオリティなプロットと演出で勝負していてうおおおおってなるんですけど、日本の大人向け特撮は雰囲気暗い・グロ・政治とこういうのじゃないんだよなぁみたいなっていう明後日の方向に全力で進んでいくんですよね。
ガンダムとかは鉄血で大コケしたら若者受け狙って水星の魔女とか大人向けにハサウェイとか子供大人も楽しめるように努力しようとしている意気込みは感じるんですけど東映は仮面ライダーをジャリ番と馬鹿にしていてスタッフやPもそのコンプレックスの反動からか変な方向に行っているようにしか見えません
まとめ
OPがもう映像の世紀とパリは燃えているか風の曲だった時点で製作のベースが仮面ライダーではなく政治ドキュメンタリーだったんだと思います。まあ石ノ森章太郎先生の原作はショッカーやゾル大佐はナチスの流れを汲む秘密結社ですし御大の思想も反体制なので仮面ライダー50周年の原点回帰と言えば、まあこれは解釈の1つとしてあるんじゃないかと。
少なくともやりたいことが満足にできずに取っ散らかったカブトに比べれば、製作者側のやりたいことはちゃんとできた作品でしょう。まあ何がしたいのか分からないゼロワンセイバーギーツ辺りの令和ライダーが論外すぎるというだけの話ですが・・・
また政治へのメタファーとしてこの作品を見るとかなりクオリティが高いと思います。特に安倍晋三関連は祖父の岸信介が満州で行っていた731部隊の人体実験から統一教会との黒い繋がりをうまく揶揄していますし、左翼関連も新左翼の内ゲバや総括・自己批判などを盛り込んでいるので、左右関係なく全方位に対して皮肉った内容かなと思います。なので政治思想で偏りが無い中道~ややリベラルな人は見れるかなと思います。
逆に特撮オタクのメイン層であるネトウヨ中年弱者男性は大好きな安倍晋三が悪事が暴かれ路上で死ぬという展開なので耐え難い内容なので見ていて不快に感じると思います。
まあこれも山上が安倍晋三を射殺したおかげで統一教会や岸信介のことが一般人の広く知るところになったので、堂波首相は安倍晋三と岸信介をパロっていてゴルゴム党は自民党と統一教会をパロっているんだなぁっていう理解が得られると思いますがそうでないとかなり非難されていたのではないかと思います。
ちなみにこの作品はクランクアップは2022年3月だそうなので、あの事件後に作ったものではないみたいです。そういう意味では公開タイミングでかなり良かったですね、はい
政治パロディとしてみたらテコンダー朴みたいに右も左もバカにしていて、細かい政治ネタが散りばめられていてクオリティの高さを感じますが、仮面ライダーブラックのリメイクとしてみると政治ネタありきでそこにブラック固有の設定や仮面ライダー要素をやっつけで載せているだけなので微妙かなと思います。
白石監督は孤狼の血とかで有名な邦画出身の監督なので特撮とかに特に思い入れのない人からみた仮面ライダーってこういう風に見えているんだろうなぁって感じです。
まあ自分はクウガアギトみたいなテイストのホラーシリアスな作品がみたいなあとずっと言っているわけですが、これが作られる日は来るのでしょうか。正直もう作られることはなくその前に仮面ライダーはウルトラマンのようにコンテンツとして終焉を迎えるのではないかと思います。
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