アニメ版「星のカービイ」
アニメ版星のカービイはゲーム「星のカービィ」シリーズを元にして制作されたアニメ。
内容は簡単に説明すると、飛行船の故障でカービィがプププランドに流れ着く、がそれを快く思わない、プププランドの統治者:デデデ大王がナイトメアが生み出した魔獣を購入し、それをけしかけてカービィを倒そうとするが、結局カービィがコピー能力を使って倒すという1話完結の子供向け勧善懲悪のストーリーである。(全100話構成)
だがフームを始めエスカルゴンなどのキャラクター、デデデ大王を始め、ゲーム登場キャラの性格もイメージとかけ離れた大幅に変更されており、世界観もアニメオリジナルになっており、放映当時はゲーム原理主義者が猛烈なアンチ活動をしていたり、賛否の分かれる作品であった。
しかし、現在は星のカービイというコンテンツ自体が新しいコンテンツの登場により全盛期よりも下火になったり、アニメ産業自体の質の劣化もあり放送終了から長らくした後再評価される流れとなっている。ガンダムSEEDに近い。
そして土曜朝7:30に放送されていた子供向けアニメにも関わらず、時事ネタやメタ発言が豊富なため非常にカオスであり、その内容のカオスさからネットでは和製サウスパークともいわれている。
癖の強いキャラクター達
アニメ版星のカービイは上述したように和製サウスパークと言われるくらいカオスな内容の話が多い。そういった内容になるのは登場人物の頭がおかしいことから起因しており、ゲームのキャラであるカービイやデデデ大王を始めとした従来のキャラクターが謎キャラにされている。加えて、デデデ大王の側近であるエスカルゴンをはじめとしたプププランドの住人などのアニメオリジナルのキャラもなかなか癖が強い。
カービィ
今回はゲームと違い出生の秘密が明かされている。 本来なら二百年後に目覚めるはずだったが、かなり早く起こされたため知能は赤ちゃん並で言葉も「ポヨ」や片言の単語しか話せない。
ポヨ!ポヨイ☆
ポヨ~?プュゥ…ポヨ?ポヨ~ポヨヨ~イ♪
ポヨ☆
ポヨ・ポヨポヨヨ
と某電気ネズミよろしく鳴き声で感情を表現する。だが一応最強無敵の星の戦士であり、体力スタミナ無限のコピー能力持ちで強さはチート。これで赤ん坊なのだから末恐ろしい。
だが言葉も満足にしゃべれず知能も低いので、魔獣と戦うとき以外は基本フームや、アニメ版カービィ界唯一の畜生であるトッポリに介護されている。なので、回によっては村人やデデデに都合のいいように使われており、デデデ大王やエスカルゴンからはピンクの悪魔・哀れなピンクボールなどぼろくそに言われていたりする。
デデデ大王
ゲーム版では国民から全ての食べ物を奪い去ってたり好き放題していたが、いざという時はしっかりするみたいなキャラだったが、アニメ版ではただのガイジアホの子と化した。悪役キャラではなく、大王という独裁者の地位と特権を利用し、単に好き放題やってるだけで、自分のふるまいを悪いと思ってないっぽいから余計たちが悪い。だが自分から悪の枢軸だの独裁者を自称していたり、プププランドの住人を「哀れな人民ども」と言ったりと、発言の節々が子供向けアニメのよくある悪者キャラではなく地味にシリアスで面白い。
アニメ版では、
・森を伐採してゴルフ場を作ろうとする
・家来であるワドルディを自販機で販売する人身売買を行う
・工場を建設し汚染水を垂れ流す
・おまけつきお菓子ブームに便乗しコンプガチャ商法を展開する
・村にテレビを普及させ、意図的に編集した映像でカービィを悪者にする偏向報道を行う
・電波ジャックで違法視聴を行う(本人曰く国家ぐるみ場合は犯罪ではないとのこと)
などなど子供向けアニメの悪役とは思えないシリアスな非道の数々を自覚なく行っている。また森林伐採をしている最中に彼の口から飛び出した「環境破壊は気持ち良いZOY☆」など多くの迷言があったりアニメ版カービィのカオスっぷりの6割くらいを担っている。他にも魔獣を販売しているホーリーナイトメア社からの魔獣購入代金を踏み倒し続けており、その合計は117京441兆2426億1370万8686デデンとなっていたりする。
彼の珍発言まとめシーンは「ホモと見るしゃべるペンギン」でググれば恐らく視聴できると思うので、興味の沸いた方は方は是非一度見てほしい。
フーム
出典:公式イラスト
こちらはアニメオリジナルキャラクター。プププランドの大臣・パームの娘で、ブンの姉でカービィの親友という位置づけ。このキャラもなかなかアクが強い。というのも本作品ではキャラ一の常識人で頭脳明晰、知識も豊富で村人たちの信頼も厚い。
がデデデ大王の専制君主制に反対しており、基本的人権の主張や民主主義による平和な世界、教育や芸術文化の普及を望んでいるなど子供向けアニメの子供キャラとは思えないくらい常識人過ぎる。
常識人過ぎて、大衆心理に惑わされまくる本作のキャラクターの中ではかなりの左寄りとなっており、インテリ左翼系のプロ市民気質があり逆に怖い。実際51話でデデデに内緒でカービィの誕生日祝いを準備していた際はクーデタを計画していると疑われたり、自然保護に熱心になりすぎて、プププランドの住人から若干顰蹙を買っていた際デデデ大王から「良き市民運動家の宿命ぞい!」などと言われている。
基本的にこのアニメの社会風刺描写の大半は彼女の問題提起から始まることが多い。彼女自体も子供なので作品の中で行動に矛盾している点も何点かあるが、基本的には常識人の良いキャラである。中でも魔獣教師(83話)でのこの発言は考えさせられるものがある。
「みんなのためと思って叱らないようにするとやる気がないと言われ、反対に頑張り過ぎると暴力教師と呼ばれる。先生はどうすればいいの?」
「先生も力不足かもしれない。でも、立場を理解してほしい。 もちろん、あたしはこんなこと言う資格はないわ。でも、先生ばかりに責任を押し付けないで。お願いよ!」
とても子供がいうセリフとは思えないものが多数あり、その年部相応な常識人っぷりは弟のブーンが年相応な子供な分余計際立っている。またその一方で基地外ゲージに全振りした、星のフームたんという神回も存在する。
デデデ大王が雇ったオタクの3人組:オタキングに目を付けられ彼らの作ったアニメのヒロインにされた、そのアニメのタイトルが星のフームたんというわけなのだが、内容はとてもカオスで土曜朝のお茶の間を凍り付かせた。
また彼女の父親であるパームはかつて母親であるメームにストーカー行為を働いたことがあるなどこれまた子供向けとは思えない内容である。
コックカワサキ
アニメ版カービイを語るうえで外せないのがこのコックカワサキ。
これまでゲームでも度々ボスとして登場していたコックカワサキだが、アニメ版では子供向けアニメに出てくるキャラクターとは思えないサイコパスなキャラとなっている。感じ的には蛭子能収を彷彿とさせる。
引用元:https://twitter.com/mathmaskman/status/978780865051283457/photo/1
上記の発言だけでもやべーやつだというのが分かっていただけるだろう。またフームからカービイをカワサキのレストランに住みこみさせてくれと頼まれた際はシゴトキツイヨキュウリョウヤスイヨヤスミナイヨ というブラック企業みたいなセリフをブラック企業が社会問題化する前から平然と放っている。
他にも、コックカワサキに対する他のキャラクターの当たりもなかなか辛辣で、デデデ大王を始めとしたプププランドの住人からはお前の料理は不味いけど安いといったニュアンスの発言を目の前で平然と言われる。特にデデデ大王からは遅い・不味い・見た目も悪いなどボロクソ言われている。
だが本人はひどいなぁーの一言で済まして何も改善しようとしないし、34話で師匠であるコックオオサカが来たり、他にも兄弟子のコックナゴヤが村を訪れて、カワサキの料理技術にテコ入れしているも一向に改善しない。これもまたコックカワサキのサイコパス臭に拍車をかけていると言っても過言ではないだろう。
アニメ版星のカービィの神回
・49話「星のデデデ」
デデデ達が「星のデデデ」とうオリジナルアニメを作るにあたって、企画・キャラデザなどなどアニメづくりの一連の流れが学べる第二のシロバコともいえる神回。
「才能はないけど根気だけはある物好きは腐るほどいるでゲス」「好きでやってる連中は給料安くで済むでゲスなあ」などなど、アニメ制作で酷使されるプププランドのキャラクターを通じて、現代のアニメーターの劣悪な労働環境などを散々皮肉らせている。また最後のプロットと作画が崩壊したアニメを見たフームが放つ「酷さを極めると芸術ね」という最後の締め言葉は鉄血のオルフェンズなどの昨今の廃材アートMADブームを予言していたような神懸りっぷりである。
・89話「キモアニメ、星のフームたん」
49話「星のデデデ」に続くアニメ回その2、キモオタがフームをストーカーし、集めた音声を使って星のフームたんというお茶の間が凍り付くような萌えアニメを流す回。自分のアニメプロットを一生懸命説明しようとするカービィがとてもかわいい。
他の回も子供向けアニメらしからぬ社会風刺や皮肉が混ざっており、大人でも普通に楽しめるクオリティとなっている。
終わり
こんな感じでアニメ版星のカービイは非常にカオスな作品である。だがそのカオスさがいい意味に作用し、作品自体は大人が見ても非常に面白いものになっている。
環境問題や産業革命以降の資本主義社会システムの欠陥やゴミ問題、果ては異常気象や外来種問題など・・・現代社会が突き当たっている問題を風刺した子供向けとは思えない内容のアニメである。
だがこんなアニメだからこそ自分はアニメ版星のカービイは面白い作品だと思う。というのも、今のアニメ作品は確かに昔に比べて量は増えたと思う。しかし、規制やクレームのせいもあってか非常にお茶を濁した内容のものが非常に多く見ていて何も面白くないものが溢れかえっているように私は感じる。
やはり90年~00年代のアニメや特撮は見ていて視聴者が考えさせられるものが多く、私自身も子供のころは何となく見ていたけど大人になってから見返してみると、こういう意味だったのかと気づかされることが多い。
このアニメ版星のカービイは00年代の作品なので、画質も見れるレベルだし今の世代の人には見れるものだと思う。
DVD自体は発売元が倒産したこともあり途中までしか発売されていないが、円盤化されていない話数もネットを探せば転がっている。なので、見ていないという人には是非見てほしい名作アニメの1つである。
コメント
ガンダムSEEDは違うだろ…
あんな主人公達に都合のよい世界と一緒にしないでほしい